あらすじ
どちらが探偵さん?
「残念ながら両方です」
インターホンもドアチャイムもノッカーもない探偵事務所『ノッキンオン・ロックドドア』。
戸惑うようなノックの音なら、謎を抱えた依頼人がやってきた“しるし”だ。
密室、容疑者全員アリバイあり、衆人環視の毒殺など【不可能(HOW)】な状況のトリックを推理する御殿場倒理。
ダイイングメッセージ、現場に残された不自然なもの、被害者の着衣など【不可解(WHY)】な状況から理由や動機を解明する片無氷雨。
相棒かつライバルのダブル探偵が、難事件に挑む!


この二人に注目!!

御殿場倒理
トリック解明に強い〈不可能〉専門の探偵。
悪魔のような巻き毛と黒のタートルネックが特徴。
ミステリのバディ小説でおなじみ『謎』に取りつかれたタイプの人。
自分の専門外となれば氷雨に丸投げし、事件は面白いか否かで判断する一面を持ち合わせ、犯人の動機についてはあまり関心がない。
一見薄情なように思えるが――

片無氷雨
動機や理由を探る〈不可解〉専門の探偵。
通称、地味眼鏡。
見た目どおりの真面目な性格で、たびたび倒理をたしなめる様が目撃される。
こちらもバディ小説おなじみ相方に人生を狂わされた人。
作中で何度も地味だと揶揄われている彼が、堅実とは正反対の探偵になったわけとは――
この小説がおすすめの人
バディ小説の真骨頂!
家族でも恋人でもない、しかし友情というには深いところにある二人の繋がりはまさしくクソ重感情!
短編形式かつ、コミカルかつ、文章に癖が少ないので大変読みやすい。
一巻で抵抗なく読み進められたけど、バディ小説としては弱くない?
と思った人は、是非二巻まで読み進めて二人の関係に悶えてほしい。
二人の距離感 ★★★★★
「…… 密室を作ること自体が目的だったとか。犯人は妄想好きのミステリマニア」
青崎有吾. ノッキンオン・ロックドドア (徳間文庫) (p.16). 株式会社徳間書店. Kindle 版.
「君みたいな?」
「おまえみたいな」
「じゃあ二人仲よく逮捕だ」
恋愛、友情、どれにも当てはまらないけれど、誰よりもお互いを信頼している絶妙な距離感がまさしく最高の距離感!
共同経営だから当然だが、事務所兼居住区で四六時中一緒にいられるところから察するに
かなり波長の合うもの同士でないとこの生活は成り立たないだろう?
つまりそういうことだ。
食事を一緒にしたり、一緒にゲームをしていたり、割と作中で仲良しなのが垣間見える。
あと、なんだかんだ氷雨はなんだかんだ倒理に甘いぞ。
キャラクターの魅力 ★★★★★
「君は相変わらず、倒理に殺されたがってるね」
青崎有吾. ノッキンオン・ロックドドア (徳間文庫) (p.124). 株式会社徳間書店. Kindle 版.
トリック「どのように?」をの解明を得意とする倒理と、動機「なぜ?」の解明を得意とする氷雨のダブル探偵が見所なのは公式の通り。


それぞれ得意分野が違えば、人間性も違います。
そんな正反対の二人がなんだかんだ仲良くやっているところが魅力です。
その他、穿地や美影などのサブキャラクターもそれぞれ個性的であり、個性的故みんなバラバラだったりします。


そんな四人が「謎」という一つの題材をめぐり、運命共同体のような動きをするところに注目していただきたい。
切っても切り離せない、絆というにはあまりに複雑な関係がそこにはあります。
個人的に、氷雨と美影の関係性が大好きです。
光属性の人間に対してクソ重感情を抱えている者同士の交わりが好きな人には是非見てほしい!
話の面白さ ★★★★☆
「便利な時代になったね」
青崎有吾. ノッキンオン・ロックドドア (徳間文庫) (p.146). 株式会社徳間書店. Kindle 版.
「ドンキでだって犯罪の道具が買える」
「鈍器なだけに?」
「うまいだろ」
「超ウケる」
つまらなそうな顔で言われた。
話自体は短編形式で非常に読みやすいです。
そのうちいくつかは主人公たちの過去に繋がる話として繋がっています。
また、全体的にコミカルな雰囲気で軽く読み進められるのも魅力です。
ほどんど欠点もないですが、唯一上げるならトリックが運任せなところが気になりました。
犯罪コンサルタントとしてそれでいいのか?
二巻まで読んでほしい度 ★★★★★
「待ってる」
青崎有吾. ノッキンオン・ロックドドア (徳間文庫) (p.223). 株式会社徳間書店. Kindle 版.
さっき僕が言った台詞を、繰り返した。
……なんか、こうやって改めて言われると、恥ずかしいぞ。
是非二巻まで読んでほしい!
主人公二人の過去が読者の明るみになる二巻がまさにバディ小説の真骨頂!
二人の関係性に悶えたい方は二巻必読です!
まとめ
この小説自体は結構前に読んだのですが、
2023年7月29日からドラマが始まると聞いて再度一巻から読みなおしました!
オシドラサタデー『ノッキンオン・ロックドドア』|テレビ朝日 (tv-asahi.co.jp)
火村英生シリーズのドラマが大好きな私としては非常に楽しみな作品です。
今回紹介した以外にも、好きなセリフや場面が沢山あるのですが、ネタバレにならない程度の留めておきますので、是非ご自分の目で確かめてください。
ドラマから小説に人が流れて、続編が出ればいいなぁと思ってます。

